「親の年齢が年齢やし延命治療ってどうなんだろう?」
「延命治療って実際どうなん?した方がええん?」みたいな相談をされました
延命治療って人工呼吸器のイメージが強いと思います
実は延命治療の種類は他にもあります
私はICUで看護をしたことがあり治療後に延命治療へと移行した人も何人か見てきました
- 延命治療って何?
- 延命治療の種類について
- 延命治療のメリット・デメリットについて
- リビングウィルについて
- 高額療養費制度について
延命治療とは
『何らかの治療行為を行わなければ死に至るはずのものを生きながらえさせるため』の治療としての意味合いで使われています
同じ治療でも目的が延命なら延命治療になるって認識やな!
そのため、延命治療には様々な種類があります
点滴も延命目的であれば延命治療になります
主に行われてる延命治療について
主に3つの治療が延命治療としてよく言われているから解説するわ
人工呼吸器
自分で呼吸が出来ない時に呼吸を助けてくれる機械です
口から気管にかけて管を入れて、その管を機械と繋ぎ呼吸を助けてくれます
人工呼吸器を装着中は、苦痛もかなり強いため鎮静剤をすることが多いです
また、抜けないように口周りをしっかりと固定するため、慣れない人が見ると驚きます
めちゃくちゃしんどそうに見える
人工呼吸器の長期装着は良くないと言われています
だいたい2週間以上装着が必要となると気管切開といって、喉から気道まで切開し、気管カニューレを装着し人工呼吸器を繋げます
延命治療に移行する場合は気管切開はせんかな
人工呼吸器をつけたまま自然経過を見ていく感じになるわ
人工栄養
口から食事の摂取が出来なくなった人に対して他の方法で身体に栄養を入れる事です
主に経管栄養といって鼻から管を入れる方法と胃ろうといって胃に小さな穴をあけて直接栄養を入れる方法があります
最初は経管栄養から始めることが多いですが、長期的に必要と判断すれば胃ろう造設へと移行していきます
一時的に胃ろうを作る場合もあって、その時は除去したりもする
今回は延命についてやから、除去はせんで
胃ろうは定期的な交換が必要になります
交換の頻度は胃ろうの種類にもよります
バルーン型と呼ばれるタイプは1~2か月に1回、バンパー型と呼ばれるタイプは4~6か月に1回ほど交換が必要になります
交換のたびに入院が必要になります
特に問題なければ1泊2日で出来ることもあるで!
バルーン型だと材料費が約8000円、バンパー型だと材料費が2万円程度になります
それに入院が含まれて保険適用で1~3割負担となります
在宅で見る場合、訪問診療などの管理も含めると月に6万ほどかかります
胃ろうの栄養については保険される栄養剤があり、それを利用すると安くなります
人工透析
腎臓の機能が低下することで、尿を作れなくなり身体から老廃物の排出や水分の排出で出来なくなります
老廃物が排出されないことで尿毒症と呼ばれる生命に関わる深刻な状態になります
また水分が排出されないことで心不全と呼ばれる生命に関わる深刻な状態になります
その腎臓の代わりをするのに人工透析となります
一度、透析が導入されたら永続的に透析が必要になります
透析には『血液透析』、『腹膜透析』の2種類があります
ほどんどが血液透析を行っています
血液透析は1回で4~5時間の治療時間が必要になり、それを週に3回行っていきます
機械を使って行うため通院が必要になります
透析は途中で辞めるやサボるってことは絶対に出来んで
透析しないということは命に関わることやからな
毎週3回、4~5時間の拘束は大変や
透析の後は結構だるいしな
腹膜透析はお腹のスペースに透析液を注入して、それは排出する方法です
これだと月1回程度の通院ですみ、自宅で自分ですることが可能になります
しかし、手技の獲得の難しさや途中で血液透析に移行する必要もあり、行われることは少ないです
透析の費用は月に約40万程かかります
みんな、そんなに払ってるん!?
実際にそんなに払える人はいないです
透析導入となった場合は特定疾病扱いになり高額療養費支給特例と呼ばれる制度が使えるようになります
そうすることで自己負担限度額が1~2万円になります
自己負担額は所得によって変わることもあるから注意してな!
その他
他にも延命治療としても捉えられることを列挙します
- 心臓マッサージ
- 血圧を上げる薬の使用
- 中心静脈栄養と言われる血管に大きな管を入れて点滴をする
- 末梢での点滴
補助循環と呼ばれるのもそうやな
なんにせよ、目的が延命なら延命治療になるわ
延命治療のメリット
やっておきたいことが出来る
人工透析など導入後も自由に行動できる人であれば、やり残したこと、家族との時間、大切な人への挨拶、相続の問題などの身辺整理を行うことが出来ます
みんなが思う延命治療ってイメージとはちゃうやろうけど
延命治療=動けない、意識がないとかやろうしな
後述の2つが延命治療のメリットになるかな
生きている間に会うことが出来る
延命治療することで遠くの親戚や知り合いが生きている最後の姿を見ることが出来ます
どんな状態であっても最後の姿を見れるなら見たいとは思うもんや
心の整理をする時間が出来る
延命治療をすることで死に対して家族の覚悟と準備が整ってくることもあります
キューブラー・ロスという人が死の受容に対して人は5つの過程を辿ると言われています
否認→怒り→取引→抑うつ→受容の過程を辿ります
否認:否定的な考えや、死ぬことはないといった行動
怒り:なぜ私がと不公平を感じるます
取引:死を少しずつ理解し、死を先延ばし出来ないかと時間を求めるようになります
抑うつ:取引がうまくいかないわかり気持ちが落ち込みます
受容:死は誰でも訪れるものなど受け入れて気持ちが落ち着く
だいたい、この流れで人は死を受け入れていくで!
これは本人だけじゃなく、家族も似たように辿ることも多い
延命治療のデメリット
個人的にはデメリットの方が多いと思ってる
俺個人の考えなら延命治療はして欲しくないしな
本人の意思と反する可能性がある
最初から延命治療を目的として治療が始まることは無いです
何かしらの治療や病気から延命治療へと移行されます
そのため延命治療へと移行となった時には本人の意識が無い可能性が高いです
延命治療をするのは本人やし、本人の意思がわからんと判断しにくい
難しいかもしれませんが、本人の意識があるうちや意思決定が出来るうちに相談しておくと良いです
本人だけでなく家族も苦痛を感じる
延命治療では治療者の意識は無い状態がほとんどです
いくら話しかけても反応も無いことも多いです
体中に点滴などの管がたくさんついています
大きな機械がついていたり、点滴によって身体がむくんできたり、逆に痩せて細くなっていったりと知っている姿と大きく変わっていきます
そんな状態を見ているだけでも苦痛になります
延命や看取りをするのは、そうなることを理解し覚悟ておく必要がある
個人的には、こうなるのが当たり前やのに医療従事者を責めるのは辞めて欲しいと思うわ
簡単に中止できない
延命治療を始めたら簡単に中止は出来ません
日本では安楽死は認めれておらずすべての治療をいきなり止めることは難しいです
特に人工呼吸器に関して抜去は認められておらず、設定の変更となっています
少し古いですが訴訟問題も起きています
「人工呼吸器は外せるのか?」の答えを求めて|なぜ今『救急×緩和ケア』なのか | 看護roo!
昇圧剤、補助循環装置、人工呼吸器がついた患者さんが居って家族の要望で補助循環中止、昇圧剤中止はしたけど人工呼吸器だけは家族が要望しても中止はせんかったな
家族の要望であったとしても問題とされる事例があったからやろうな
医療費がかかる
延命治療により毎月の費用がかかります
また延命治療でありどこまで治療が続くかもわかりません
見通しの見えない費用はかなり負担になると思います
高額療養費制度を利用することで負担の軽減が出来ます
高額療養費制度とは1ヶ月での窓口における医療費の支払い限度額を超えた場合にその超えた分を払い戻せる制度です
公的の健康保険に加入していることが条件です
詳しくは被保険者証に書かれてる役所などへ問い合わせると良いです
こちちらにも書かれています高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省
食事代や個室料金などの対象外のやつもあるで!
延命に対する準備
延命治療については本人・家族・親戚でしっかりと話し合ってください
これが全て!
本人の意思も確認できるしな
俺は延命はしないってなってる
リビングウィルの作成
リビングウィルとは尊厳死について本人の意思を明記しておくことです
日本ではリビングウィルについての法律も存在しません
日本尊厳死協会のサイトにリビングウィルの事前指示書の例があります
これを参考に作成するもの良いと思います
事前指示書には決まった書き方も存在しません
- 最後に迎えたい場所
- 心肺蘇生や人工呼吸器について
- 口から食べれなくなった時
- 点滴や輸血などの治療について
- その他の要望
だいたい、こんな項目があったらええかな
『尊厳死宣言公正証書』と言った公正証書を作成もあります
公証役場には作成を依頼することが出来ますが、費用もかかるので注意が必要です
このような指示書が無くても事前に本人の意思を知っておくと家族の負担も少なくなります
本人が判断出来ない状況だったら全て家族の判断になるで!
事前指示書があれば、それを医師に見せたらええわ
入院時に事前指示書を書かされることもあるで
まとめ
- 延命目的の治療を延命治療という
- 主に人工呼吸器、人工栄養、人工透析がある
- メリット
- やっておきたいことが出来る
- 生きている間に会える
- 心の整理をする時間が出来る
- デメリット
- 本人の意思と反する可能性がある
- 本人だけでなく家族も苦痛を感じる
- 簡単に中止できない
- 医療費がかかる
- 高額療養費制度を利用することで負担額を軽減できる
- 事前準備として尊厳死に関するリビングウィルがあり、事前指示書を作成することで本人の意思を尊重することが出来る
まだまだ家族も元気で、こういった事を考える必要がないと考える人もいるかと思います
人はいつどうなるかは誰にもわかりません
何かのタイミングで話し合ったり、考えを聞いといた方がええで
元々話し合ってる人は、定期的に考えが変わってないかも確認したい方がええな
最後まで読んで頂きありがとうございました!